2010年7月24日土曜日

インスリン、糖尿病、インスリン抵抗


インスリンとは、タクシーの運転手のような存在であると考えたらよいでしょう。脳を含む体の活動の全ては、糖をエネルギー源として行われています。その糖(お客さん)を、血管(道路)を通って体中の細胞(目的地)に届けるのが、インスリン(タクシーの運転手)の仕事です。しかし、目的地が大勢の人であふれている時は、お客さんをとりあえずホテルへ連れて行ってそこで待機してもらいます。それは、糖が脂肪に蓄積される状態のことを指し、これもまたインスリンの働きです。

糖尿病とは、エネルギー源である糖を細胞の中に取り込めないため、血中の糖分の量が異常に増えてしまい、その糖分が尿にもあふれ出てくるという症状が特徴の病気です。高血糖の状態が続くと、細胞を脱水状態にさせたり、腎臓に負担をかけたり、血液をドロドロにしたりと、色々な不都合が出てきます。
I型糖尿病は、インスリンがちゃんと作られないために、血糖値が上昇するタイプの糖尿病です。それに対し、インスリンはちゃんと出ているのだけれど、細胞の方で「インスリン抵抗」ができてしまっているために糖を取り込むことができず、血糖値が上がるタイプが、いわゆるII型糖尿病です。現代の糖尿病のほとんどは、このII型にあたります。

「インスリン抵抗」とは、タクシーの運転手がお客さんを目的地へ連れて行くのですが、目的地のドアが閉まっており、中に入れない状態のことを指します。別に目的地が人でいっぱいというわけではないのに、です。こうして細胞がお腹をすかせた状態が続くと、体はインスリンをたくさん作ることで対応しようとします。しかし、一向に効果がないためか、やがてインスリン製造も止まってくる場合が多くみられます。

「インスリン抵抗」ができてしまう仕組みと予防法については、次回から説明していきます。

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