2010年7月22日木曜日

糖尿病〔2型)とストレス

ストレスとは一言で言っても、あまりにも漠然としていて、つかみどころの無いように思われがちですが、大きく分けて、三つあります。

  • 精神的ストレス(もつれた人間関係、うるさい上司、夫婦仲が悪い、悩み、怒り、心配など)
  • 食事のストレス(暴飲暴食、加工、インスタント食品のとりすぎ、 酵素欠乏食のとりすぎ)
  • 肉体的ストレス(重労働、体の歪み、極度の暑さ、寒さなど)

今回は精神的ストレスと2型糖尿病の関係についてお話します。

結論から言いますと、精神的ストレスが多くなるとインシュリン(血糖を減少させるすい臓から分泌されるホルモンの一種)の分泌が抑制され、グルカゴン(インシュリンに対抗し血糖値を上げる分泌物、これもすい臓から出ます)の分泌が増えます。インシュリン、グルカゴン共に重要な役割を持っています。しかしそのバランスが崩れてしまうと、色々な不具合が出てきてしまうのです。

基本的な体の働きとして、ストレスが多くなると、体は交感神経優位の緊張状態になります。この状態は、身を危険から守り、ストレス状態を乗り切るために体に備わった自然な自己防御システムです。

例えば、いきなりトラが目の前に現れて、あなたに襲いかかろうとしているのを想像してみて下さい。その状況に対応するための体は本能的に筋肉や、必要部位に血を送るために、心臓を早く打ち、瞳孔を開き、逃げるか、もしくは戦うための最善の準備をします。そのとき体は脂肪をエネルギーに変え(グルカゴンの働きによって)、インシュリンの分泌を抑制し、血糖値を上げ、糖は脳の働きのためにとっておきます。更に、その瞬間に必要ない消化吸収の働きは一切止めてしまいます。

このように、一過性(トラに食べられてしまえばそれでおしまいですが)のストレスであれば、さほど問題は無いのですが、現代社会において経験するストレスは、トラに襲われるほどの過激さはありませんが、会社や学校での人間関係や、家族内の問題など長期にわたる精神的ストレスを抱えている場合が多くあります。このような状況下であっても、体は同じように反応し、体が交感神経が優位な状態が長期的に続いてしまうのです。

興味深いのは、体は今現在起きているストレス状況と過去に起こったストレス状況の区別が出来ません。つまり、目の前にがみがみ言う上司がいるのと、家に帰ってからその状況を思い出すのも、体は同じように反応し、緊張状態になります。違う例で言えば、目の前にレモンがあっても、無くても、つばが出るのと同じです。

ですから、いったん人間関係がもつれてしまうと、心の整理がうまく出来ない人は、いつまでも交感神経優位になります。最初に述べたように、ストレスがかかって、交感神経優位の状況では、インシュリンの分泌は抑制されます、よって血糖値が高くなる傾向になり、逆にグルカゴン、コーチゾル(ストレスホルモン)が分泌され、ストレスに対応する準備をします。しかし、このような状態が長期的に続くと、体は耐えきれなくなり、全体のシステムが崩壊しだすのです、つまり、病気になるということです。糖尿病はその一つです。

人間の体は、一過性のストレスであればそれに耐えるための機能は備わっていますが、いつもストレスを抱えた状態で過ごすようには出来ていません。現代人の多くが抱えるようなストレスは、不自然極まりないということです。心のリセットを上手にできるようになること、そしていつも喜び、感謝できることに本当の解決策があるのではないでしょうか。




Tiger attak... / claudiogennari


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