2010年7月30日金曜日

骨粗鬆症(胃酸とたんぱく質の消化)

「骨を強くするためには、カルシウムを十分にとればいいんでしょう?」というのが、一般的な考えだと思います。しかし、カルシウムを入れさえすれば、そのカルシウムは骨の一部となる、というような単純な問題では実はありません。まず、骨の形成にはたんぱく質が重要な鍵となります。骨は、カルシウムだけで出来ているのではありません。特に、たんぱく質からなるコラーゲンは、骨形成の主要成分です。更に、約五割のカルシウムは、たんぱく質と結合して骨の細胞に取り込まれるため、たんぱく質が消化吸収されなければカルシウムも十分に取り込むことは出来なくなってしまうのです。

たんぱく質の消化吸収においてとても重要なのが胃酸です。胃酸の分泌は、健全な状態であっても、年とともに減る傾向にあります。

よくあるシナリオは、胃の粘膜が暴飲暴食や精神的ストレスで傷むことで、胃酸が傷口を刺激し、痛みや不快感が生じるようになります。このような場合、胃酸を抑える薬を処方されます。一時的に胃酸を薬で抑え、粘膜の修復に専念することは賢明なことです。しかし、根本的な問題を取り除かず、いつまでも、症状のみを取り除くために、胃酸を抑える薬を飲み続けることは、自分で自分の首を絞めているのと同じです。

胃酸が十分に出ないことで、たんぱく質の消化が低下し被害を被るのは、骨の形成だけではありません。体のほとんどはたんぱく質から成り立っています。たんぱく質の消化吸収が落ち込むことは、体の修復が十分に出来なくなり、老化のスピードが加速するということなのです。

胃の中で消化されなかったたんぱく質は、十二指腸ですい臓から出る消化酵素で分解されるチャンスがもう一度ありますが、このバックアップに頼り続けることはすい臓に無駄な負担をかけることになります。すい臓を酷使する事は命を縮めることです。

たんぱく質の消化吸収をよくするために出来ることを次回書きます。

質問はこちらへ。
izumiwellness@gmail.com




にほんブログ村 健康ブログ 代替療法へ
にほんブログ村

酵素療法と骨粗鬆症

一般的に骨粗鬆症の予防としてカルシウムのサプリメントを飲む方が多いと思います。特に閉経後、女性はカルシウムのサプリメントを飲むことを病院でも薦められます。カルシウム剤の中でも色々と種類がありますが、根本的な問題は、どれだけとるとか、どの種類をつかうか、ではなく、カルシウム及び骨形成に必要な栄養素ををどれだけ効果的に吸収でき、利用できるかなのです。

ポイントは、体内に健全な骨を形成するための環境が整っているかどうか、なのです。

その環境を整えるために必要な条件は
1.正常な胃腸の働き

骨形成に必要な栄養素を口から入れるだけでは不十分なのです。特に消化力の低下が骨粗鬆症には深く関係しています。それに対し酵素療法は大変有効です。

2.運動

運動不足は骨粗鬆症の大敵です。

3.精神的ストレスの軽減

次回から、これらのことを、少しずつ説明していきます。質問がある方はizumiwellness@gmail.com

まで。



Portrait of an articulated skeleton on a bentwood chair / Powerhouse Museum Collection

にほんブログ村 健康ブログ 代替療法へ
にほんブログ村

2010年7月29日木曜日

よく噛んで食べなさい!

私どものクリニックでは、全ての患者さんに口を酸っぱくして”よく噛んで食べてください”といいます。これほど効果的で、器具も何も必要としない健康法はありません。生涯続けることが出来れば、健康寿命が10年延びると言っても、言い過ぎではないかもしれません。健康を支える上で一番重要な土台は胃腸です。なぜなら、生まれてから死ぬまで、私達は、食べたものを血、肉、臓器、エネルギーに変換する事によって生かされています。胃腸はその過程において中心的役割を担うからです。

嚙むことによって物理的に食べた物を細かく砕くことができますし、唾液を十分混ぜ込むことによって事前消化を促進させることが出来ます(事前消化に関しては前に書いた記事を参照ください)。さらに、生の野菜や果物を食べる場合、よく嚙むことによって、植物の細胞膜を破りの中に入っている消化酵素を出してやることができるからです。

どこかにぶつけてしまったりんごが、翌日、へこんだ部分だけ柔らかく茶色になっているのを見たことがあると思いますが、それはりんごの細胞の中に入っていた消化酵素が、そのりんご自身を消化し始めたからです。

このように、りんごなどの生の野菜や果物をよく噛んで食べれば、勝手に自分で自分を分解し吸収されやすい状態になります、しかし熱で調理されていれば、酵素が失われてしまうため、消化に必要な酵素は全て体が分泌しなくてはならないのです。これが酵素の無駄使いなのです。

更に、人間は植物の細胞膜(繊維)を分解する酵素を持ち合わせていません。ですからよく噛んで細胞膜を破らない限り野菜や果物の栄養素と酵素を取り出すことが出来ません。生野菜は消化に悪いから食べないという人がいますが、よーく噛んで見てください。これまで経験したような、ガスがたまったり、お腹が痛くなるようなことはなくなるはずです。熱で調理された、たまねぎや豆類を食べた後とガスがたまりやすいのは酵素が全てなくなってしまっているからです。生のたまねぎや(少しだけ水にさらすと辛さがずいぶんましです)発芽させた生の豆を食べてみてください(もちろんよく噛んで)。そうすれば、ガスは全くといっていいほど出ません。注意していただきたいのは、生の種(シード)類、豆類、ナッツ類をそのまま食べるのは避けるようにしてください。なぜなら、それらには酵素を抑制する成分があるので、逆に消化を悪くしてしまいます。


Boosted and softened apples / Jinx!


にほんブログ村 健康ブログ 代替療法へ
にほんブログ村

2010年7月28日水曜日

インスリン抵抗性を作らないために 3

ここ数日の記事を振り返っていただければわかると思いますが、結論は、インスリン抵抗性を作らないために、毎日きちんと運動をして、食べ過ぎに気をつけましょう、ということです。あまりにも使い古されたフレーズで、言葉の意味がちゃんと伝わらないのではないかと心配です・・・・。

酵素療法的に説明しますと、インスリン抵抗性が出来るということは、言い換えれば、糖代謝がうまく出来なくなるということになります。特に血中の脂肪が多くなると、インスリンの働きが鈍り、一層糖代謝が上手に出来なくなってしまいます。酵素療法では、リパーゼ(脂を分解する酵素)を食間に摂り、血中の脂質分解を促します。そうすることにより、インスリンが働きやすくなり、血糖値のコントロールがしやすくなります。もともと、中性脂肪やコレステロールの値が上がったり、甘いものばかり欲しくなったりする背景には、消化力の低下が深く関わっています。消化吸収を促し、正常化させるのが酵素療法の中心であることも付け加えておきます。

糖尿病になってしまった後でも、運動療法、食事制限と共に酵素を利用することによって、人によっては薬なしで血糖のコントロールが出来る場合もありますし、薬の量を増やさずに、長く生活の質を保つことが出来ます。

糖尿病予備軍の自覚がある人は一刻も早くインスリン抵抗をなくし、正常な糖代謝を取り戻してください。なぜなら、予防は比較的簡単で、効果も出やすいのですが、いったん糖尿病になると、その治療は難しく、生涯付き合わなくてはいけません。個人的に私は友人を糖尿病で数年前になくしました。糖尿病はとても残酷な病です。皮肉なのは、本人の自覚さえあれば、ずいぶんと違った結果を出せるのに、私との関係が近いためか、彼にうまくアドバイスできなかったことです。


Jogging with Dog at Carcavelos Beach / ceiling


にほんブログ村 健康ブログ 代替療法へ
にほんブログ村

2010年7月26日月曜日

インスリン抵抗性を作らないために 2

インスリン抵抗性をつくる原因として前回は過食について書きましたが、今回は、運動不足について説明します。

細胞に糖を送り届けるのがインスリンの役目で、まるでインスリンは糖を乗せるタクシーの運転手のようなものです。糖を乗せたインスリンを受け付ける細胞には受付嬢がいると考えてください。この受付嬢を通して、細胞の中に入ることが出来るのですが、細胞側が糖(エネルギー源)を必要としていなければ、受付嬢は糖とインスリンがやってきても、「お引取りください」と言わざるをえません。細胞に十分エネルギー源が残っていて糖およびインスリンを受け付けなくなるのは仕方ありません。しかし、慢性的に糖とインスリンを受け付けなくなってしまうと、受付嬢は、いざ糖(エネルギー)が必要になった時も、「お引き取りください」と言うようになってしまうのです。この状態を「インスリン抵抗」と呼ぶのです。

この状態を改善するには、受付嬢をもう一度教育しなくてはいけません。常時エネルギー〔糖〕が細胞側で必要になれば、受付嬢も糖とインスリンを受付け、細胞の中に入れてくれるようになるはずです。

糖(エネルギー)が必要な状態とは、活発に体を動かしている状態、または、脳をを使っている状態です。しかし、誤解しないでください、考え事を一日中していても、脳では糖を消費するようになりますが、体全体のインスリン抵抗性は改善しません。

毎日少なくても一時間は歩き、エレベーターやエスカレーターは使わず、階段を上りましょう。日中も頻繁に立ち上がり、ラジオ体操のような軽い運動を2度ほど行うとよいでしょう。


02_tea_0120_kazi_hq_receptionists_smile.jpg / _foam
にほんブログ村 健康ブログ ホリスティック医療へ
にほんブログ村

2010年7月25日日曜日

インスリン抵抗性を作らないために


pixies:into the white / visualpanic


インスリン抵抗性を作ってしまう原因は一つではなく、色々な要素が重なり合って形成されます。

過食はその一つです。しかし、そもそもどうして私達は食べ過ぎる傾向にあるのでしょうか?

現代食生活の特徴を考えると、巷には加工食品が満ち溢れ、栄養のバランスが悪く、味覚を満足させる事に重点を置いています。確かに味がいい食品が多いのですが、商品のラベルを見れば、聞いたことも見たことも無いような食品添加物ばかりです。それから、精白、精製された炭水化物から作られた食品が多いことも現代人の食べ物の特徴です。つまり、白い砂糖、小麦粉や白米などがが原材料となっているものです。パン、うどん、パスタ、スナック菓子、デザート類、焼きソバ、ラーメン、炒飯・・・・きりがありませんね。現代食の大半はこの部類に入るのではないでしょうか。

精白、精製されたものの食べすぎは明らかに過食を招きます。精白、精製された小麦粉、白米は、未精白のものであれば含まれているはずの酵素、ビタミン、ミネラルが欠乏しています。本来未精白で自然に近い状態のものを食べれば入ってくるはずの物が入ってこないために、栄養的に満たされない体は、もっと食べ物を欲するようになります(栄養価の高いものを期待して)。

栄養価の高いバランスのとれた食事をし、それらを確実に消化吸収し体内に届ければ、体が早く栄養的に満たされ、必ず過食は止まります。バランスよい食事に加え、酵素〔エンザイム)を多く含んだ生の野菜、果物、酵素サプリメントを加えると、消化吸収が促され、過食を抑えるために大変有効です。

にほんブログ村 健康ブログ ホリスティック医療へ
にほんブログ村

2010年7月24日土曜日

インスリン、糖尿病、インスリン抵抗


インスリンとは、タクシーの運転手のような存在であると考えたらよいでしょう。脳を含む体の活動の全ては、糖をエネルギー源として行われています。その糖(お客さん)を、血管(道路)を通って体中の細胞(目的地)に届けるのが、インスリン(タクシーの運転手)の仕事です。しかし、目的地が大勢の人であふれている時は、お客さんをとりあえずホテルへ連れて行ってそこで待機してもらいます。それは、糖が脂肪に蓄積される状態のことを指し、これもまたインスリンの働きです。

糖尿病とは、エネルギー源である糖を細胞の中に取り込めないため、血中の糖分の量が異常に増えてしまい、その糖分が尿にもあふれ出てくるという症状が特徴の病気です。高血糖の状態が続くと、細胞を脱水状態にさせたり、腎臓に負担をかけたり、血液をドロドロにしたりと、色々な不都合が出てきます。
I型糖尿病は、インスリンがちゃんと作られないために、血糖値が上昇するタイプの糖尿病です。それに対し、インスリンはちゃんと出ているのだけれど、細胞の方で「インスリン抵抗」ができてしまっているために糖を取り込むことができず、血糖値が上がるタイプが、いわゆるII型糖尿病です。現代の糖尿病のほとんどは、このII型にあたります。

「インスリン抵抗」とは、タクシーの運転手がお客さんを目的地へ連れて行くのですが、目的地のドアが閉まっており、中に入れない状態のことを指します。別に目的地が人でいっぱいというわけではないのに、です。こうして細胞がお腹をすかせた状態が続くと、体はインスリンをたくさん作ることで対応しようとします。しかし、一向に効果がないためか、やがてインスリン製造も止まってくる場合が多くみられます。

「インスリン抵抗」ができてしまう仕組みと予防法については、次回から説明していきます。

にほんブログ村 健康ブログ ホリスティック医療へ
にほんブログ村